普段皆さんの愛犬は、お留守番の時どのように過ごしていますか?
飼い主さんと離れて過ごす不安から、ストレスを感じ、いつもは大丈夫なのに今日は吠えていた、トイレを失敗していた、いたずらをしていたという経験はありませんか?
今回は「犬の分離不安」についてご紹介したいと思います。
分離不安とは
人と同じように、犬もその日の体調や環境によって、気持ちが変わることがあります。もともと、犬は群れで暮らす動物なので、1匹で長時間過ごすことは得意ではないため、不安になってしまいます。
「飼い主さんが帰ってくる」ということがわかっていれば、安心してお留守番をすることができますが、分離不安やその前段階の時には注意が必要です。
・飼い主さんが外出するとわかると吠えはじめる
バックをもったり、着替えたりしている事に気づき、飼い主さんにこのままここにいてほしい、ひとりで留守番をしたくないという気持ちからの行動です。
・飼い主さんが外出するとわかるとソワソワして部屋の中を歩き回る
外出することに気づいたら、同じところをぐるぐる回ったり、ケージを噛んだり、玄関に寝そべったりして、飼い主さんを引きとめたい、ひとりになりたくないという不安からの行動です。
・留守番中に物を壊したり、部屋を荒らしたりする
留守番をしている時に限って、トイレシーツを噛みちぎったり、ゴミ箱をひっくり返したり、いつもはして いなかったことをするようになると分離不安からくるものと考えられます。
ここで、怒ってしまうと行動がエスカレートする可能性があるので、怒らずに片付けましょう。
・留守番中にトイレを失敗する
トイレトレーニングが完了していて、いつも決まった場所でできるのに、廊下や部屋の中にトイレを失敗した形跡がある。留守番中に限って失敗するのは、不安やパニックからのものである可能性もあります。
帰宅してトイレを失敗していても怒ることはせずに、片付けましょう。
・留守番中に自分の手足を舐めたり、噛んだりする
さみしかったり、退屈だった時間がきっかけで、長時間にわたりひたすら前足を舐めたり噛んだりすることもあります。そのままにしておくと毛が抜け落ちたり、皮膚炎を起こしてしまうまでずっと舐め続けてしまいます。あまりにも頻度が高いと自傷行為という問題行動の1つになります。
このような時は、獣医師の先生に相談しましょう。
・飼い主さんの外出前や帰宅後にあとをついて歩く
部屋から部屋に移動したり、着替えをしたりする間、あとをついてくる。飼い主さんと離れることが不安になり、あとをついてくることで不安を解消しようとします。
・飼い主さんがトイレやお風呂に入るとパニックになる
飼い主さんがトイレやお風呂に行った後、音や気配は感じるけれど、しばらく帰って来ないと寂しさを感じたり、不安になってしまいます。
分離不安の主な原因
分離不安は、「飼い主さんが出かけてしまったら、もう帰ってこないのではないか」
「留守番中に、何か嫌なことがおこるのではないか」という極度な不安な気持ちが原因となっていると考えられます。
捨てられた経験があったり、子犬の頃からひとりになる経験が不足しているのに長時間のお留守番、子犬の頃に親や兄弟と早くに引き離されたことによる生育環境
リフォームや引っ越し、お留守番の時間が長くなったり、帰宅時間の変化、新しい家族に迎えられたり、家族が増えたり減ったりしたことによる生活環境の変化
留守番中に地震や雷、大きな物音やしつこいチャイムの音で経験をした恐怖体験
目が見えなくなってきた、耳が遠くなってきたなど身体の自由がきかなくなってきたことによる加齢や体調不良
お留守番するときの注意点
不安分離になってしまったら、長時間のお留守番は犬にとってストレスになります。
まずは短い時間から犬をひとりにする時間に慣れさせるために、数十秒から1分程度ドアを閉めて犬をひとりにさせます。
徐々に時間を伸ばしていき、ひとりで過ごすことに慣れさせていきましょう。
できるようになってきたら、短時間の外出をする。
帰宅時に犬が興奮して喜んでいても、すぐにかまったりせずに犬が落ち着いてからコミュニケーションをとるようにしましょう。
外出する時も飼い主さんが「これから出かけるよ」などの声かけや申し訳ない表情・素振りをしないでさっと外に出て、気づいたら飼い主さんが出かけていたという状況にしましょう。
留守番の時に寂しくならないように、お気に入りのおもちゃを用意したり、テレビやラジオをつけておいたりするのも効果的です。
おもちゃを与えるときは、誤飲・誤食の心配のないものを与えてください。
トイレシーツを破ってしまう場合は、破らないようにするために網目のカバーがついているメッシュタイプのトイレにする。
ゴミ箱を漁ってしまう場合は、蓋つきの物にする。もしくは犬が入れない部屋に一時的に移動する。
犬がいたずらしそうなものは他の部屋に移動させてたり、犬が届くところには物を置かないようにする。というように犬が快適に留守番ができるような環境を整えることも大切です。
普段から、犬に対して愛情をたっぷり注いで構いすぎることはいいことのような気もしますが、常に誰かが犬の相手をし、ひとりでいることに慣れないと家族の不在時に不安になってしまいます。
そうならないためにも、犬と関わらない時間をあえて作り、犬がひとりで過ごすことに慣らしていきます。
そのかわり、遊びやコミュニケーションをとる時間をしっかりと設け、その時はたっぷり遊んであげましょう。
不安分離の犬は、飼い主さんの姿が見えなくなるとすぐに不安になってしまいます。
この不安な気持ちは姿が見えなくなってから30分くらいにピークを迎えるといわれています。
ペットカメラを設置して、飼い主さんが出かけてからの犬の様子を確認してみるといいかもしれませんね。
ずっと吠えていると思っていたけど、飼い主さんが出かけてしばらくすると吠えるのをやめる。
飼い主さんが帰宅することを察知して吠えだす。なんてこともあるかもしれません。
ペットカメラも遠隔で首振りができ、移動しても追尾して姿を確認できるものもあります。
また動作を感知した時や、音声を検出した時にスマートフォンに通知をしてくれる便利な機能もあり、飼い主さんも犬の様子が気になった時には、犬の姿を確認することができ、安心して外出ができるのではないでしょうか?
分離不安の症状が強い場合は、行動診療科にて動物行動治療の専門獣医師の診察を受診することをおすすめします。
次回は『これからの季節に気をつけたい!犬の熱中症』をご紹介したいと思います。
この記事を書いた人
わんずっと編集部|りゅうパパ・きよママ