犬の行動を正しく指導する訓練方法「クリッカートレーニング」はご存知でしょうか?
クリッカートレーニングは、元々はイルカに芸を教えるときに用いる方法でしたが、今では犬や他の動物の訓練にも応用され、広く認知されています。
この記事では、犬のしつけのためのクリッカートレーニングについて、基本から具体的な使い方まで詳しく解説します。
クリッカートレーニングについて
クリッカーとは?
クリッカートレーニングでは「クリッカー」という器具を使います。
クリッカーはボタンを押すと「カチッ」という特定の音が鳴るというシンプルな装置です。
このカチッというクリッカーの音が、犬と飼い主の間で特別なコミュニケーションを生み出します。
クリッカートレーニングの基本
クリッカートレーニングの基本的な考え方は、犬が望ましい行動をしたときにクリッカーの音を鳴らし、その直後に報酬(フードやおやつ)を与えるというものです。
これにより、犬はクリッカーの音とポジティブな結果(報酬)が連動することを学びます。
つまり、クリッカーの音は「その行動が正しい」という即時のフィードバックとなり、犬はその行動を再度行うことで報酬を得られると理解するのです。
チャージング
クリッカートレーニングを始める前には、犬に「この一連の流れから報酬につながる」ということを教える必要があります。
この音が鳴る→報酬という関連付けを「チャージング」と呼びます。
チャージングは、クリッカーの音を鳴らした直後にフードを与えるという行為を何度も繰り返します。
そうすることで犬はクリッカーの音と報酬が連動することを学び、クリッカーの音を聞くと期待感を持つようになります。
チャージングがうまくいけば、クリッカートレーニングの基礎が完成します。
ここまで出来たら、クリッカーを使って具体的な行動を教えていくことが可能となります。
クリッカートレーニングの具体的な手順
それではクリッカートレーニングを用いて、犬に特定の行動を教える具体的な手順を以下に示します。
「おすわり」の教え方
おすわりを教えるときは、犬が自然に座ったときにクリッカーを鳴らし、すぐにフードを与えます。
これを繰り返すことで、犬は「座る」行動が報酬につながることを学びます。
その後、「座る」という行動をする時に「おすわり」や「シット(sit)」などのコマンドを言うようにして、最終的にはクリッカーを使わずにコマンドだけでおすわりができるようにします。
ボールをくわえる行動の教え方
ボールをくわえることを覚えさせるときは、犬がボールを見たらクリッカーを鳴らしフードを与えます。
次に、ボールにちょっとでも近づいたらクリッカーを鳴らすようにします。
さらに、ボールに体の一部が触れたら、鼻が触れたら、ボールを噛んだら、ボールをくわえたらというように、段階的に行動を進めていきます。
クリッカートレーニングのメリット
クリッカートレーニングには以下のようなメリットがあります。
楽しい学習体験
クリッカートレーニングは犬にとって楽しい経験です。
クリッカーの音とそれに続く報酬は、犬にとってポジティブな刺激となります。
犬は学習を楽しみ、新しい行動を試すことに積極的になってくれます。
罰や叱りが不要
クリッカートレーニングは犬が好ましい行動を示した際に報酬を提供することで、その行動を強化する手法です。
これは、クリッカートレーニングが罰や叱責を必要としないということを意味します。
不必要な叱りを防ぐことができて、飼い主と愛犬との間の良好な関係を築くことができます。
明確なコミュニケーション
クリッカーの音は一定で、それが犬に対する明確なサインとなります。
人間の声とは異なり、音量やトーンの変化がないため、犬にとって混乱することなく理解しやすいメッセージです。
したがって、クリッカートレーニングに慣れるとスムーズに芸を覚えさせることができます。
クリッカートレーニングのデメリット
クリッカートレーニングは多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
タイミングの難しさ
クリッカートレーニングは、クリッカーの音を鳴らすタイミングが大切です。
音を鳴らすべき時に慣らさなかったら、犬は混乱してクリッカートレーニングの効果が薄れてしまいます。
犬が望ましい行動をしたら、すぐに正確にクリッカーを鳴らすことを意識しなければなりません。
過度の依存
クリッカートレーニングが上手くいくと、犬はクリッカーの音に強く反応するようになります。
しかし、これが過度になるとクリッカーの音がないと犬が行動しなくなる可能性もあります。
そのため、訓練が進んでくればクリッカーからの段階的な離脱も考えていきましょう。
まとめ
クリッカートレーニングは、犬に新しい行動を教えるための効果的な手段です。
しかし、クリッカートレーニングの効果を最大限に引き出すためには、その正しい使い方と訓練方法を理解し、適切に実践することが重要です。
訓練はゲームのように行い、犬が新しい行動を学ぶことを楽しむ環境を作ってあげましょう。これにより犬は新しい行動を試すことに積極的になってくれます。
ぜひクリッカートレーニングを、愛犬とともに楽しみながら実践してみてください。
この記事を書いた人
わんずっと編集部|りゅうパパ・きよママ